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【食養生コラム】台所の漢方・生姜で整える

こんにちは、すずらん健康館です。

 

朝晩が冷え込み、体のこわばりや不調を感じやすい季節になってきました。

こんな時期にこそおすすめしたいのが、古くから“台所の漢方”とも呼ばれてきた「生姜(しょうが)」です。

生姜は、体を芯から温め、巡りを良くし、免疫力まで高めてくれる優れた自然の力を持っています。

 

今回は、東洋医学・現代栄養学・実生活の養生法まで、多方面から生姜の魅力に迫っていきます。

生姜の歴史と東洋医学での役割

生姜は約2000年以上前から、薬膳・漢方の基本食材として使われてきました。

中国最古の薬物書『神農本草経』にも登場し、「身体を温めて寒を散らす」「胃腸の働きを助ける」などの効能があると記されています。

東洋医学では、以下のように分類されます:

  • 性質:温性(体を温める)

  • 味:辛味(気血を巡らせ、発散させる)

  • 帰経:肺・脾・胃

つまり、「風邪・冷え・消化不良・水分代謝の停滞」などに非常に有効な食材なのです。

現代医学・栄養学から見る生姜の成分と働き

生姜に含まれる代表的な成分は以下の通り:

ジンゲロール

  • 生の生姜に多く含まれる

  • 抗炎症作用・殺菌作用

  • 冷えの初期や、喉のイガイガ、風邪のひき始めに効果的

ショウガオール

  • 生姜を加熱・乾燥することで生成される

  • 強い温熱作用

  • 深部体温を上げる効果があり、慢性的な冷えや胃腸の冷えに有効

精油成分

  • 消化を助ける

  • 食欲増進、胃もたれの改善

  • むくみの改善

抗酸化成分

  • 細胞の老化を防ぎ、アンチエイジング効果も期待されています

生姜はこんな不調に役立ちます

日々の健康相談のなかでも、「冷えが気になる」「胃腸が弱い」「疲れがとれにくい」などのお悩みはとても多く聞かれます。
生姜は、そうした日常の不調に対して、やさしく、けれど力強く働きかけてくれる自然の恵みです。

 


  • 冷えに悩む方へ

まず、生姜の一番の魅力といえばやはり体を温める力です。
体の内側からじんわりと温めてくれるため、手足の末端の冷えや、体全体の巡りの悪さを改善してくれます。

冷え性の方や寒がりの方には、生姜湯や生姜スープを習慣にするのが特におすすめ。
日々の積み重ねで、体質の底上げにつながっていきます。

 


  • 生理痛・お腹の冷えにも

女性に多いのが、冷えによる生理痛や下腹部の重だるさ
生姜には血の巡りを良くする作用もあるため、子宮まわりの血流が改善され、不快な症状を和らげてくれます。

とくに、生理前になるとお腹が冷えたり、足がむくんだりする方には、温め食材として心強い存在です。

 

 

 


  • カゼの初期症状に

「喉がイガイガする」「ゾクゾクする」などの風邪のひき始めには、生姜湯が定番。
生姜の辛味成分には発汗を促す作用があり、体に入ってきた風邪の原因(邪気)を早めに追い出してくれます。

体をしっかり温めてくれることで、免疫力も高まり、風邪を悪化させにくくする効果も期待できます。

 


  • 胃腸が弱い・食欲がないとき

胃腸が冷えていると、食欲がわかない、消化がうまくいかない、といった不調が起きやすくなります。
生姜は、胃液の分泌を促し、消化の働きを助けてくれるので、胃もたれや食欲不振の方にもぴったりです。

とくに、冷たい飲み物や甘いものをとりすぎたときには、温かい生姜茶を飲むだけでもスッと楽になることがあります。

吐き気などの症状が強い場合には、加熱した生姜ではなく、生の生姜を使用した方か効果が高いです。

 


  • むくみやだるさを感じるときに

座りっぱなし、運動不足、そしてストレスなどから血行や水分代謝が滞ってしまうと、むくみやだるさが出てきます。

生姜には血液と水分の巡りを良くする働きがあり、体にたまった余分なものを外に出す手助けをしてくれます。
これは、東洋医学でいう「水毒(すいどく)」の改善にも通じる考え方です。

 


  • 疲れやすい・免疫力が落ちているとき

最近では、生姜の成分が免疫細胞を活性化する働きを持つことも注目されています。
風邪をひきやすい方、季節の変わり目に体調を崩しがちな方は、日常的に生姜を取り入れることで、

“病気に負けない体づくり”につながっていきます。

さらに、巡りが整うことで、体のだるさや慢性的な疲れの改善にも役立ちます。

 

生姜の使い方の注意点

生姜は素晴らしい薬効を持っていますが、すべての人に合うわけではありません。

以下の方は使いすぎに注意:

  • のぼせやすい人(熱がこもりやすい体質)

  • 顔が赤くなりやすい、ほてりやすい方

  • 胃に熱がこもるタイプの人(口臭・口渇・便秘など)

→ こういった方には、冷やす食材と合わせて使う・量を控えるなど、体質に応じた調整が必要です。

養生としての生姜の取り入れ方

● 生姜湯(風邪の初期や冷えに)

材料:すりおろし生姜、黒糖(またははちみつ)、お湯
作り方
コップにすりおろし生姜を小さじ1/2ほど入れ、黒糖小さじ1を加え、熱湯を注いで混ぜるだけ。
→ 朝起きたときや、冷えを感じた夜におすすめです。

● 生姜味噌(常備菜として)

作り方:みじん切りの生姜を味噌・みりん・ごま油で炒め煮にして保存
→ ご飯のお供、冷奴、蒸し野菜にもぴったり

● 生姜入り薬膳スープ

鶏肉・長ネギ・生姜・クコの実を使った滋養スープは、体力回復・免疫力アップに◎
→ 疲れているときの夜ご飯にどうぞ。

● 乾姜(干した生姜)のお茶

より深く温めたい体質の方は、「乾姜(かんきょう)」を煎じたお茶が効果的。
→ 冷えの強い方におすすめです。

まとめ

生姜は、体を内側から温め、気血の巡りを助け、免疫力までサポートしてくれる頼もしい食材です。
特に秋から冬にかけての季節は、生姜の持つ「温」の力が最も効果を発揮する時期。

毎日の食事に少しずつ取り入れることで、薬に頼らない自然な体づくり=養生が実現できます。

冷えが気になる方、体調を崩しやすい方は、ぜひこの機会に生姜の力を取り入れてみてください。

 


このブログは武蔵境にあります、すずらん健康館の遠藤綾華(薬剤師)が書きました。

 

すずらん健康館はJR中央線、武蔵境駅北口徒歩5分にあります、漢方・健康食品を中心に取り扱っている漢方相談店です。日々、お悩みの身体の症状、心の悩みなどありましたら、ぜひ店頭にお越しください。
薬剤師・登録販売者・国際中医師などの資格を持ったものが健康相談をお受けしています。

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